東日本大震災被災地の現状

「3.11を忘れない・・みやぎ生協から被災地・宮城のいま」をお伝えします

第9回 2014年5月12日

急がば回れの合意形成

被災した自治体のなかには、集団移転や街づくりなどで住民との合意形成がスムーズに進まず計画が停滞しているところが少なくありません。

本来なら、行政が提示する複数の計画案を住民が検討して合意に至るべきなのですが、震災の非常事態で行政も住民もそのための時間を十分にとれませんでした。復興事業の着手を急ぐ行政の対応に住民から疑問の声があがり、結果して計画の遅れを招くことになりました。

一方、気仙沼市内湾地区では防潮堤の高さを巡って行政と住民が対立。しかし県・市・住民の三者で議論を重ね、計画の変更を経て合意形成に至っています。

菅原昭彦さん(気仙沼商工会議所会頭)ら地域住民は、県の提示する防潮堤計画に高さの見直しを求めましたが、当初は平行線のままでした。「しかし、ただひとつ一致したのが復興を遅らせてはならないということでした。そこから県・市・住民が互いの役割を明確にして議論していこうと話が進んだのです」。

気仙沼市内には防潮堤を巡って話し合いの続く地域が、まだ幾つかあります。「合意形成には行政の丁寧で誠実な対応がなければならないし、住民が勉強する時間も必要」と菅原さんは言います。「県は内湾地区に対し、ここ数カ月きちんと対応してくれました。同じ対応を他の地区でもやってくださいとお願いしています。合意形成に至るプロセスで必要なのは、急がば回れの精神なのです」。

丁寧さが復興のスピードを上げる近道でもあることを、気仙沼内湾地区の事例は教えてくれます。

情報提供/みやぎ生協

阿部富士夫さんの写真
「自分たちが理解し納得して決めていくことが子孫に対する現世代の使命」と話す菅原さん。地域の住民に呼びかけて「防潮堤を勉強する会」を立ち上げた。

風景写真
気仙沼内湾地区。防潮堤建設とともに海が見えるよう土地のかさ上げも行われる。

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