東日本大震災被災地の現状

「3.11を忘れない・・みやぎ生協から被災地・宮城のいま」をお伝えします

第32回 2016年4月12日

~ひとの復興②~ いまの暮らしと帰郷の思い

「働く場所や家族の事情も考えて、こちら(避難先)に移住することに決めたの」「災害公営住宅ができていないので、まだ戻れない」。宮城県外へ避難した被災者の声です。

宮城県から他県への避難者はピーク時の9,206人から5,815人(※1)に減りました。5年の間に避難先へ定住した人、宮城に戻ってきた人、まだ戻れずにいる人、さまざまです。

宮城県が実施した調査(※2)では、県外避難者の多くが今後の生活をどうするか決められずにいることが分かりました。県内にいれば日常的にテレビや新聞で宮城の復興のニュースを目にしますが、他県ではなかなかそうもいきません。「故郷の状況がよく分からず、先行きの見えない不安を抱いているのではないか」と野口実基さん(宮城県震災復興・企画部震災復興推進課)は、避難者の生活を案じます。「早く次の生活の目途が立つように必要な情報を提供し、相談に対応していきたい」と丁寧な取り組みを進めます。

避難者を受け入れた自治体でもきめ細かな支援活動が続けられています。岩手県一関市社会福祉協議会では、市内のみなし仮設住宅などに住む避難者を対象に、「ふるさとお茶っこ交流会」を開いています。一関市は気仙沼に隣接する地域。市内の避難者514世帯のうち360世帯(※3)が気仙沼市からです。「5年経ち、“最初は気仙沼に戻るつもりだったけれど一関に住むことにしました”と言う方が増えてきています」。交流会で避難者の様子を見守る菊地理子さん(一関市社会福祉協議会)は、そう言います。

気仙沼に戻るつもりの人も「交通の便を考えると帰郷を悩んでしまう時がある」「気仙沼の災害公営住宅に入って交友関係をうまくつくれるか心配」と不安を口にします。

長い避難生活で職場、学校、交友関係がガラッと変わった人は少なくありません。帰郷すると決意はしていても“現在の生活”を惜しみ、気持ちが定まらない日々が続きます。

※1 「都道府県別避難者数」平成28年2月11日現在(宮城県)

※2 「平成27年度県外避難者ニーズ調査」平成28年2月(宮城県)

※3 「沿岸被災地域などからの市内避難者の状況」平成28年1月31日現在(岩手県一関市)

情報提供/みやぎ生協

菊地さんと佐々木さん

(写真1)一関市社会福祉協議会で被災者支援を担当する菊地理子さん(左)と佐々木理香さん。

交流お茶会「いぐすぺ」

(写真2)「ふるさとお茶っこ交流会」は月1回の開催。交流会をきっかけに参加者同士が自主的に手芸サークルをつくるなどつながりが生まれています。

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