生協商品Q&A

BSE

質問:1.BSEとは何ですか。
答え:感染性のある異常蛋白質によって起こる牛の病気で、肉骨粉によって広がりました。
BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)は、行動異常、運動失調などの症状を呈する牛の病気で、発症後数ヶ月で死亡します。BSEの牛の脳組織はスポンジ状になっているのが顕微鏡で観察されます。BSEの原因は、神経組織などに存在するプリオン蛋白と呼ばれる蛋白質が異常化するためとされています。牛がプリオン(異常型プリオン蛋白)を摂取すると元々体内に存在する正常型プリオン蛋白を異常化させます。プリオンを含む餌を摂取した牛は、2~8年の潜伏期間を経てBSEの症状が出るとされています。
BSEは1986年代に英国で初めて発見されました。羊のスクレイピーという病気が由来であるとも、牛に自然発生したとも言われますが、広がったのはBSEの牛から作られた肉骨粉が牛の餌として用いられたためとされています。英国では肉骨粉飼料の規制後、BSE感染牛は減少していますが、根絶には至らず、近年も新しくBSEの発見される国が相次ぎ、現在までに英国を含めて24ヶ国で発生が確認されています。
質問:2.BSEは人間にもうつりますか。
答え:人間にも「クロイツフェルト・ヤコブ病」(CJD)という、プリオン蛋白が異常化して起こる病気がありますが、1990年代半ばに「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」(vCJD)と呼ばれるCJDと似た病気が英国で発生し、これはBSEが感染したものと推定されています。BSEが猫に感染した猫海綿状脳症が多発したことなどから人に対する感染性も早くから指摘されていましたが、vCJDが発見されたため、英国政府は1996年にBSEの人への感染性を否定できないと発表しました。
vCJDは今のところ治療法が見つかっておらず、発症後半年から2年程度で死亡します。これまで英国を中心に150人余りのvCJD患者が確認されています。
質問:3.ヒトに対するBSEの感染リスクはどのくらいですか。
答え:感染リスクは現在の知見ではよくわかりませんが、それほど高くはないと考えられます。
ヒトに対するBSEの感染リスクを知るデータはほとんどなく、英国における疫学データを基に非常に大まかに推測されているだけです。英国で食用にされたBSE感染牛は70~100万頭と言われますが、現在までのvCJD患者数は150人余りにとどまっています。これは、ヒトへの感染性がはっきりする前の1989年に、英国政府が予防的に6ヶ月齢以上の牛の感染性部位を特定臓器(SBO:脳、脊髄、脾臓、胸腺、扁桃、腸管)として食用を禁止したために、摂取されたプリオンはそれ以前の感染牛の感染性部位及び機械的回収肉やビーフエキスなどだけで済んだからだと考えられます。
食品安全委員会は、英国のvCJD患者数予想、食用にされた日英のBSE牛数などの仮定的数値を基に単純比例計算し、日本でのvCJDを0.1~0.9人としていますが、科学的な根拠は薄いと考えます。
質問:4.プリオンはほんの少し食べても感染しますか。
答え:牛に対してはごく微量でも感染性がありますが、人に対してはどの程度の感染性があるかわかっていません。
プリオン(異常型プリオン蛋白)を含む脳組織を牛に1ミリグラム与えてもBSEが感染したという報告があり、ごく微量でも感染することがわかっています。「牛-牛」の感染性に比較して「牛-人」の感染性は低いと言う「種の壁」があるとされていて、10~10000倍の障壁があるとも推定されていますが、はっきりしたことはわかっていません。
質問:5.プリオンは食品の加工工程で無毒化しないのですか。
答え:通常の食品加工処理や調理では感染性を失いません。
プリオン(異常型プリオン蛋白)は、通常の蛋白質に見られないほど熱に強く、また蛋白分解酵素で分解されず、紫外線にも化学的にも強いとされています。したがって、煮たり焼いたりという通常の調理では感染性を減らすことは困難ですが、強いアルカリでの処理や高温高圧の処理などで不活化され、大幅に感染性を減じるとされています。
質問:6.焼却をしても灰にBSEの感染力があるということはないですか。
答え:プリオンは蛋白質なので焼却すれば感染性は残りません。
BSEを起こすプリオンは蛋白質なので、焼けば水と炭酸ガスになります。したがって、適切な焼却処理を行なえば感染力を失うと考えられます。
質問:7.BSE牛の筋肉からプリオン検出という報道がありましたが、牛肉は大丈夫ですか。
答え:国内のと畜場ではBSE検査が行われているので、心配はありません。
2004年11月のはじめ、仙台市で開催された「プリオン病国際シンポジウム」で動物衛生研究所プリオン病研究センターから発表された研究結果です。同日、農水省と厚労省から研究結果の概要とQ&Aがプレス発表されました。
発表内容と報道によれば、2004年3月に北海道で死亡牛検査によって陽性になった94ヶ月齢の牛(国内11例目のBSE牛)の各部位についてプリオン(異常プリオン蛋白)の蓄積を検査した結果、特定危険部位(SRM)のほかに、坐骨神経、脛骨神経等の末梢神経組織や副腎からプリオンが検出されたということです。末梢神経組織や副腎に検出されたプリオンの濃度は脊髄等の組織と比較して100分の1以下とされています。日本ではと畜場では全ての牛を対象にBSE検査が行なわれており、二次検査の検査法は工夫され、検査される延髄でのプリオン蓄積量がかなり低い場合でも検出できるようになっています。
今回検査された国内11例目のBSE牛はBSEを発症していないものの潜伏期後期と考えられますが、それでも末梢神経に検出されたプリオンは微量とされています。BSE検査に引っ掛 らない感染牛もいる可能性はありますが、末梢神経にはプリオンが蓄積していないか蓄積していてもごく微量と考えられます。したがって現時点では、食肉のBSEリスクは非常に低く、安全と考えられます。
質問:8.ビーフエキスは大丈夫ですか。
答え:リスクは低められてきています。
ビーフエキスには、大きく分けて(1)コンビーフの煮汁(2)ボーンエキスの2種類があります。コンビーフの煮汁は骨格筋を原料としていますので、BSEの感染リスクは心配ないと考えられます。ボーンエキスの場合、原料は牛骨が用いられています。以前は牛骨には脊柱が含まれていましたが、2001年10月から脊髄除去が義務付けられ、2004年2月以降は脊柱の使用も禁止されたため、こちらもBSEの感染リスクは心配ないと考えられます。
質問:9.ゼラチンは大丈夫ですか。
答え:ゼラチンにBSEリスクはないと考えられます。
ゼラチンは牛又は豚などの皮又は骨を原料に生産されます。牛皮や豚皮、豚骨などから製造される場合は基本的にBSEリスクはありません。また、牛骨から作られる場合も製造工程の段階で、酸処理、アルカリ処理等を行う為、WHOその他の機関により安全性は高く評価されています。
質問:10.牛脂は大丈夫ですか。
答え:食用の牛脂は脂身から作られており、リスクは低いと考えられます。
食品に使われる牛脂の大部分は背または腹の皮下の脂身を煮沸するなどの工程で作られているもので、BSEの感染リスクはほとんどないと考えられます。
質問:11.牛スジは大丈夫ですか。
答え:筋肉の一種なので、リスクは低いと考えられます。
「牛スジ」と呼ばれる横隔膜の可食部は筋肉の一種で、骨格筋と同じく、感染性の低い部位と見なせます。
質問:12.牛タンは大丈夫ですか。
答え:扁桃が除かれていれば、リスクは低いと考えられます。
牛タン(牛舌)に近い咽頭と舌の付け根に分布する扁桃には感染性が確認されており、SRM(特定危険部位)になっています。したがって、牛舌は付け根部分の扁桃を確実に取り除くことが必要です。
質問:13.羊や山羊は大丈夫ですか。
答え:BSEが感染する可能性があるので、特定部位を食べるべきではありません。
羊(綿羊)や山羊はBSEに感染することが知られており、BSEに関しては牛と同様に扱う必要があります。ただしプリオン(異常型プリオン蛋白)の溜まる部位が牛とは多少異なります。
厚生労働省は2004年に綿羊及び山羊の特定部位を設定し、と畜場における除去が義務化されました。飼育している山羊などを自家用に消費する場合にも、これらの部位は消費すべきではありません。 ※綿羊及び山羊の特定部位:12ヶ月齢以上の頭蓋(舌、頬肉を除く)、脊髄、胎盤全月齢の扁桃、脾臓、小・大腸(付属するリンパ節を含む)
質問:14.国内の安全対策は十分ですか?
答え:きちんとした検証が必要です。
食品安全委員会は2004年9月、国内措置を検証したとする「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について-中間とりまとめ-」を出しましたが、国内のリスク管理措置であると畜場での安全対策や飼料規制について、必要な資料が提出され十分な検証がなされたと考えておりません。鳥取県生協では、厚生労働省及び農林水産省に追加調査の実施を要望する要請書を、2004年9月23日付で提出しています。
質問:15.と畜場での安全対策とは、どんなものですか?
答え:と畜場では、特定危険部位(SRM)、日本の行政用語で「特定部位」として頭部(舌、頬肉を除く)、脊髄、回腸遠位部の除去が行われます。また、脳や脊髄などのSRMによって食肉が汚染されないよう、ピッシング(牛を吊り下げる時に足が暴れたりしないように、脳、脊髄を破壊する作業)を廃止すること、背割りの前に脊髄を抜くこと、背割りの後に脊髄組織等を除去し枝肉をよく洗浄すること、などが必要です。また検査によって陽性と判定された牛は全部位が焼却処分されています。
質問:16.と畜場での安全対策は十分ですか?
答え:と畜場での安全対策などに改善すべきことがいくつかあります。
2001年10月から、と畜場では食肉の汚染防止対策が指導されていますが、下記の厚生労働省の調査結果のように、ピッシングの廃止や背割り前の脊髄の除去などの安全対策がまだ行われていないと畜場もあります。ピッシングは脳組織が血液中に入り食肉を汚染する可能性があります。また背割りの前に脊髄を抜けば、背割りの際に脊髄が飛び散って食肉を汚染する機会が減ります。したがってこうした安全対策を徹底する必要があります。
ピッシングはと畜作業の安全のために行われるもので、安全に廃止するための工夫が必要とされるため、廃止していると畜場の技術の共有化が必要です。脊髄の除去については、吸引機などの設備に費用がかかるため、国からの補助が必要であり、また除去技術の共有化も必要です。鳥取県生協は厚生労働省にそうした対策の推進を求め、できるだけ早期の義務化を要請しています。
特定部位の取り扱い状況等の調査結果(2003年2月末現在、厚生労働省調べ)
1 牛の特定部位の取り扱いについて 調査対象施設 ............163
(牛のと殺を行っていると畜場数)
2 スタンニング方法
(1)スタンガン ............151
(2)と畜ハンマー(スタンガンの併用を含む) ............13
3 ピッシングの使用
(1)ピッシングを行っている ............119
(2)ピッシングを行っていない ............44
4 背割りによる脊髄片の飛散防止措置
(1)基本的事項
①鋸の歯を洗浄しながら切断し、脊髄片を回収している ............138
②回収した脊髄片を焼却している ............148
(2)その他の飛散防止措置
①背割りの正中線からずらしている ............15
②背割り前に脊髄吸引機等を用いた除去を行っている ............107 (後略)
質問:17.BSEの検査に限界があるといいますが、安全が確保できるのでしょうか?
答え:検査と特定危険部位の除去、汚染防止対策が組み合わされて安全が確保されます。
2001年に消費者と生産者の徹底した対策を求める声を受けて、全頭検査が行われるようになりました。検査方法には当時最も検出感度の高かったELISA法が採用されました。その結果、これまで21ヶ月齢と23ヶ月齢の感染牛も発見されています。と畜場が受け入れる牛の約9割が20ヶ月齢以上であり、21ヶ月齢の陽性牛を検出できた全頭検査は日本では概ね有効に機能したといえます。現在の検査法では潜伏期の牛では、検出されない可能性がありますが、すべての牛で特定危険部位が除去されるので、二重の安全対策によって食品の安全が確保されると考えられます。
質問:18.全頭検査を見直すべきという意見がありますが、どう考えますか?
答え:現在、BSE検査の対象から20ヶ月齢以下の牛を除外する、全頭検査の見直しが検討されていると伝えられています。しかし、BSE検査の検出限界を20ヶ月齢とする科学的根拠は薄く、と畜場に持ち込まれる牛で20ヶ月齢以下の牛は1割前後と少ないことから、費用もほとんど変わりません。全頭検査の見直しによって、かえってと畜場では作業が増える可能性もあり、検査済みの牛肉と未検査の牛肉が流通することによって、消費者の混乱が予想されます。生産現場では牛の出荷月齢を調整したり、場合によっては偽装表示も出る可能性があります。理由が曖昧な全頭検査の見直しは行政と食肉の安全性への信頼の低下を招くものです。現在国内外で、より検出感度の良い検査方法が研究されており、生体検査などを含めて検査方法の改善も近い将来可能になると考えられます。
質問:19.安全対策はSRM除去で十分という意見がありますが、どうですか?
答え:SRM除去だけでは不十分と考えます。
SRM(特定危険部位)はBSE感染牛に含まれるプリオンの大部分(99.4%)でありますが、全部ではありません。研究によってSRMが追加される可能性もあります。また牛を解体する際にSRMによる食肉の汚染を完全に防ぐこともできません。
したがって、SRM除去だけでは、不十分で、BSE検査と合わせて、より十分な安全を確保できると考えられます。EUもWHOも感染牛は検査によって食物連鎖(生産から食卓までのすべての段階)から排除すべきという考え方です。
質問:20.20ヶ月齢以下の牛は現在の検査方法で検出できないのではないですか?
答え:BSE検査の限界を月齢で特定することは困難で、もっと若い牛でも感染牛は検出される可能性は否定できません。
感染牛が何ヶ月齢で検出可能かということは、仔牛時代に牛がどれほどプリオンを摂取したかということと牛の個体差によって変わると考えられますが、国内で見つかった21ヶ月齢および23ヶ月齢の感染牛は飼料規制後に生まれた牛であり、摂取したプリオンは微量と考えられます。飼料の交差汚染は防止するようにしていますが、今後も感染が起こらないとは言い切れません。
潜伏期間中期のこの時期、プリオンの増殖速度は緩慢であると言われており、線引きは困難です。
質問:21.若齢牛の検査を税金の無駄だという意見がありますが、どう考えますか?
答え:仮に20ヶ月齢以下の牛の検査を廃止しても費用はほとんど変わりません。
現在一般的に使用されている検査キットは、1キット96ウェル(検査試薬が小分けして入った反応用の窪み)のものですが、陰性対照(検体をいれずに行う空試験)と陽性対照(キットに付属する異常プリオンの標準品を使って行う試験)に6ウェル使うので、1キットで90検体を検査可能で、それ以下でも1キットを使います。
現在国内でと畜場に来る牛の1割前後が20ヶ月齢以下ですが、検査の手間が1割変わるものの、検査の費用はほとんど変わらないと考えられます。
質問:22.生協は検査方法の改善を要請していますが、見込みはあるのですか?
答え:研究は進められています。BSEの検査の方法は発展途上であり、新しい検査方法も提案されています。近い将来、新しい検査方法によって若い牛の検査、場合によっては生体検査もできるようになる可能性もあります。検査する部位は現在延髄の閂(かんぬき)部ですが検査する部位を変更することによっても検出限界は変わります。現在、異常プリオンの蓄積は動物衛生研究所でも調査中であり、その研究は1~2年で一定の結果を出すもとの期待されます。全頭検査の見直し議論はこうした研究の結果を待ってから行っても遅くはないと考えられます。
質問:23.BSE検査についての日米の相違はどこですか?
答え:日米で、検査の目的が違うのうで、検査のやり方にも違いがでます。 BSE検査の目的には、食品安全のために感染牛を食物連鎖(生産農場から食卓までのすべての段階のこと)から排除するための「スクリーニング検査」(と畜場の検査)と、国内のBSEの存在を把握するための「サーベイランス検査」(死亡牛や症状牛の検査が中心)があります。日本ではスクリーニング検査を優先していますが、米国は検査はサーベイランス目的で十分としています。
質問:24.SRM(特定危険部位除去)についての日米の相違はどこですか?
答え:日本と米国では、SRMの範囲が異なり、日本向けの対応をしても不安が残ります。
日本では、すべての牛の頭部、脊髄、脊柱、回腸遠位部が範囲です。
米国では、すべての牛の扁桃、小腸、30ヶ月齢以上の牛の頭蓋、脳、三叉神経節、眼、脊髄、脊柱となっております。米国では、30ヶ月齢未満の牛のSRMが食品に混入するおそれがあり好ましくありません。
質問:25.米国の食肉汚染対策は大丈夫でしょうか?
答え:米国におけると畜から食肉生産までの状況は詳しく把握されていません。空気注入によるスタンニングが廃止されたこと、ピッシングが廃止されていること、などの断片的な情報は伝わってきていますが、総括的な調査、評価が必要です。

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